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2021/03/18
NPIメールマガジン 「中央アジアから見た米中関係:ピントを外し続ける米国、重要だが親近感は増さない中国」(米中関係研究会)

中曽根平和研究所の「米中関係研究会」(研究リーダー:川島真上席研究員、東京大学大学院綜合文化研究科教授)は、「中央アジアにおける米中関係」をテーマに、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター 宇山智彦教授のご報告をもとに議論を行いました。主なポイントは以下の通りです。

- ピントを外し続ける米国、重要だが親近感は増さない中国 -

 1991年のソ連崩壊による中央アジア諸国独立後、アメリカは最も迅速かつ強力に各国との関係を築いたが、関心は非核化、民主化、石油・ガス開発等特定の問題に集中し、バランスが取れていなかった。アメリカは地理的にも感覚的にも、利害関係のうえでも中央アジアから遠いのに、それを十分自覚して、不利を補うような政策を採れていないのが現状である。欧米中心の国際秩序はよいもので、中国やロシアがそれに挑戦するのは悪いことだという考えも、中央アジア諸国では必ずしも支持されていない。対して、中国は経済大国として存在感を強めることには見事に成功しているが、中国との関係は主に経済的実利の観点からとらえられており、価値観の共有や文化的な親近感には結びついていない。さらに中国が軍事大国・人口大国でもあることが、隣接する中小国の政府に「中国と対立してはいけない」という考えを強めさせると同時に、民間の中国脅威論の解消を難しくしている。

 そもそも中央アジアのような中小国を、ある大国の勢力圏ないし諸大国の競争の場と見ることは、多くの場合、現実と合っていない。米欧や日本にとって中央アジアの重要性は自明ではなく、認識も不十分で、深く安定した関与はできていない。近隣の大国であるロシアや中国との関係の方が、最も深いものになるのは必然であった。ロシアや中国の立場も、中央アジア諸国は無条件・恒常的に支持しているわけではなく、中小各国は自国の利益を最大化させるために、時に駆け引きをしながら両国との関係を構築している。中小国は、固定的な「勢力圏」の中で大国の影響の客体の地位に甘んじているわけではない。「グレートゲーム」のように見えるものは、大国間の競争というよりも、大国と中小国の駆け引きの束としてとらえた方がよいだろう。

宇山先生の発表内容は、こちらのコメンタリーhttps://www.npi.or.jp/research/2021/03/18105121.htmlをご覧ください。
米中関係研究会は今後も定期的に研究会を開き、その成果を発信していきます。

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