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経済安全保障

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2023/11/24
NPI特別セミナー「米国大統領選挙と経済安全保障政策」を10月16日に開催しました。

基調講演を行う麻生会長

パネルディスカッション

集合写真

 この度、米国側から、我々とパートナー関係にあるCenter for the Study of the Presidency & Congress (CSPC)のグレン・ナイ所長及びジャパン・ソサイエティーのジョシュア・ウォーカー理事長、日本側から、弊所の柳瀬唯夫副理事長(NTT副社長)及び佐々江賢一郎理事(国際問題研究所理事長)をスピーカーとして、米国大統領選挙と経済安全保障政策に関する特別セミナーを10月16日に開催いたしました。

 麻生会長の基調講演では、日本を取り囲む権威主義国家は、純粋に軍事的な脅威となるだけではなく、経済活動も武器化し、ジュネーブ条約などの戦時国際法が想定していなかった脅威を与えており、こうした国際情勢を踏まえれば、日米安全保障条約の必要性と有効性はむしろ高まっていると述べました。その上で、日米同盟を基礎として日本と米国が幅広い意味で連携と協力を行っていくことの重要性が増しているとの認識を示しました。米国大統領選挙において対中政策自体が大きな争点になる可能性が低いとしても、米国におけるウクライナ支援を巡る議論の先には、米国として権威主義国家にどのように付き合っていくのかという大きな論点があり、日本としても大きな関心を寄せざるを得ないとしました。

 基調講演に続いて、4名の有識者からスピーチがありました。米国側からは、CSPCのグレン・ナイ所長と、日米相互理解・協力の促進を目的とする非営利組織であるジャパン・ソサイエティーのジョシュア・ウォーカー理事長の2名が登壇いたしました。日本側からは、弊所の柳瀬唯夫副理事長(NTT副社長)及び佐々江賢一郎理事(国際問題研究所理事長)の2名が登壇いたしました。

 ナイ所長は、米国連邦議会の視点から米国の経済安全保障に関する取組等を概説し、常にアメリカの政治においては大統領選挙のある年は難しい1年間となり、非常に分極化が進んでいる中ではあるが、大統領選挙の結果にかかわらず、日米関係は強固なままであり、そしてお互いにもっとも重要な同盟国であることは変わらないことを強調しました。

 ウォーカー理事長は、日本の特徴である主役だけでなく脇役にも注目したリーダーシップや、ユニークなアドバンテージである和の能力は日本の強みであり、またそれが昨今の地政学的リスクを抱える世界情勢を踏まえ、重要になってきていることを強調しました。

 柳瀬副理事長は、懸念国の国家主導の産業政策の手口が高度化している状況について概説し、それに対抗するためには、同志国間が国際協調をし、互いの技術優位性について強み・弱みを認識することで、インダストリアルポリシーコーディネーションを確立させることが必要であることを強調しました。

 佐々江理事長は、外交的な視点から経済安全保障の問題、日米同盟に係る問題について概説し、懸念国への対抗が必要なものの経済ブロック化が進行しすぎると戦前の轍を踏むことにつながる可能性があり、懸念国との共存を目指すべく対話を続けることが重要であることを強調しました。

 講演に続くパネルディスカッションでは、当研究所の白石経済安全保障研究センター長がモデレータを務め、有識者4名との対談形式で、大統領選挙の結果によって対中政策がどのように変化するのか、日本側としての心構えはいかのようにあるべきか、グルーバルサウスとの連携について具体的な次の一手はなにか、などについて議論しました。


◆スピーカー

グレン・ナイ 大統領・議会研究センター(CSPC)所長

ジョシュア・ウォーカー ジャパン・ソサエティー理事長

柳瀬唯夫 中曽根平和研究所 副理事長/日本電信電話株式会社 副社長執行役員

佐々江賢一郎 日本国際問題研究所 理事長/中曽根平和研究所 理事

◆パネルディスカッション・モデレータ

白石 重明 当研究所主任研究員/経済安全保障研究センター長


*麻生会長の基調講演「米国大統領選挙と経済安全保障政策」(要旨)を以下のリンクよりお読みいただけます。

https://www.npi.or.jp/event/2023/11/24110000.html

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