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2023/10/30
10月26日に、NPI「知りたいことを聞く」シリーズ「ウクライナ戦争の行方」を開催しました。

 NPI「知りたいことを聞く」シリーズは、人々が関心を寄せる旬のテーマについて、第一線の研究者に「知りたいこと」を投げかけて見解を聞く討論会です。ロシアによるウクライナ侵攻は1年半を過ぎ、ウクライナによる反転攻勢もあり、その行方は混沌としています。ウクライナ情勢をめぐる各国の外交的な動きは引き続きめまぐるしいものがあります。今回は、廣瀬陽子・当研究所上席研究員(慶應義塾大学教授)と、倉井高志・前在ウクライナ大使を迎え、ウクライナ戦争の行方を議論しました。


【パネリスト】

倉井高志 前在ウクライナ特命全権大使/元在ロシア大使館特命全権公使

廣瀬陽子 慶應義塾大学教授/当研究所上席研究員

【モデレーター】

藤崎一郎 元駐米大使/当研究所顧問


 外務省はじめ諸官庁や企業、マスメディア関係の方々の視聴参加を受け、活発な議論が交わされました。視聴者からのご質問を整理して、当日、パネリストに問いかけた主要な質問は以下のとおりです。


1.これから雨期・降雪期を迎えるという時期、また、ウクライナ支援への「疲れ」がみられる状況、ガザの情勢でロシアへの国際社会の批判がそらされる可能性等を踏まえ、今後外交的・軍事的にロシアとウクライナどちらが有利な展開となるとみているか。

2.アメリカ議会ではウクライナ支援に対して厳しい見方が出てきているが、これは経済上の理由だけなのか、他の理由があるのか。またウクライナ国民のゼレンスキー大統領に対する支持の陰り、「戦争疲れ」という状況はないか。

3.ロシアの攻撃はインフラに対する攻撃が中心で、市民の大量殺戮にはなっていないという見方をどう考えるか。またロシアによる核兵器使用の可能性について、西側は対応策が取れないと思われ、だからこそ西側はクリミア半島奪還をゼレンスキー大統領には求めていないのではないか。

4.ウクライナ戦争の行方について、これから1~2年の期間についての見方はどうか。まだかなり継続するのか、何らかの決着がつく見込みがあるか、和平会議のようなものが開かれる可能性はあるか。


 これらの質問に対し、パネリストの発言のうちいくつかをまとめると要旨以下のとおりです。

1. これから冬期に入るが、機甲軍団の対決より歩兵戦なので戦争が止まることはない。

2. 世論調査でみるとウクライナ国民の士気は依然高い。欧州の一部に支援疲れや反ゼレンスキー感情が出てきているのは事実だが、しっかり対応している国も多い。鍵を握るのは米国の動向だろう。

3. クリミアは難しい問題である。核兵器の使用については、軍事的に合理性に欠けることに加えロシア国民はウクライナで核を使うことに反対しており、使う可能性は高くない。

4. この戦争は両者のどちらかが疲弊しきるまで続く可能性が高いのではないか。

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