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外交・安全保障

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2016/10/21
第7回 東京-ソウル・フォーラム:私たちの未来に向けての課題克服

7 東京-ソウル・フォーラム:

私たちの未来に向けての課題克服 "Overcoming Challenges and Moving Forward Together"

世界平和研究所(IIPS)と韓国シンクタンクのソウル国際フォーラム(SFIA)は2016930101日、「第7 東京-ソウル・フォーラム」を都内で開催した。本フォーラムは国際経済、外交・安全保障などの分野で日韓の政・官・財・学の各界を代表する識者が意見交換を深める戦略対話の場として2010年より毎年開催されている国際会議である。

7回を迎えた今回は、「私たちの未来に向けての課題克服 "Overcoming Challenges and Moving Forward Together"」を総合テーマに、基調講演と4つのセッション、さらに両国のビジネスリーダーによる記念スピーチから構成される、2日間におよぶ密度の濃いプログラムが展開された。韓国からは朴晙雨(パク・ジュヌ)セジョン研究所会長をはじめ13名の代表団が来日、中曽根康弘IIPS会長を表敬訪問後、会議を行った。

まず開会式では、佐藤謙IIPS理事長、鄭求鉉(チョン・グヒョン)SFIA理事長の双方から、現在の日韓を取り巻く環境は、北朝鮮による核およびミサイル開発が格段に進んでいることや中国による一方的な海洋進出など懸念すべき状況にあること、世界経済は中国経済の減速など成長の鈍化と不確実性の増大が見られ深刻な状況にあることを踏まえ、特に安全保障と経済分野における両国の協力について議論したいとの意思表明がされた。

開会式に引き続き実施された第一セッション(モデレーター:李淑鍾(イ・スクジョン)東アジア研究院院長)では、「東アジア地域を取り巻く現状と課題」について、北岡伸一IIPS研究本部長・国際協力機構理事長、川島真IIPS上席研究員・東京大学教授、鄭在浩(チョン・チェホ)ソウル大学教授による発表と討議が行われた。

初日夜の歓迎レセプションには、中曽根弘文IIPS副会長から歓迎の意が表され、柳津(リュウ・ジン)豊山グループ会長が答礼した。このレセプションには来賓として、岸田文雄日本国外務大臣と着任間もない李俊揆(イ・ジュンギュ)駐日本国大韓民国大使館特命全権大使が出席してくださった。岸田外相は、日韓関係は昨年末の日韓合意を契機とし、前向きな進展を見せていること、様々な分野そして様々なレベルを通じて両国の意思疎通が一層進み、未来志向で相互信頼に基づく新しい時代にふさわしい両国関係ができることを心から願い、それに大きく寄与する本フォーラムの意義を高く評価する旨の祝辞を述べた。李大使は、着任後の挨拶回りにおいて多くの人が、韓日関係が改善に向かいつつあることを喜んでくだったというお話を披露し、本年中に韓日中3か国首脳会談が日本で開催され、朴槿恵(パク・クネ)大統領の訪日が実現することを期待していると述べた。

翌日の第二セッション(モデレーター:鄭求鉉SFIA理事長)は「日韓両国経済の再生策」について、飯田泰之明治大学政治経済学部准教授、金廷洙(キム・チョンス)韓国貿易協会シニアカウンセラーによる発表と討議が行われた。

続いて、両国のビジネスリーダーによる記念スピーチが行われた。まず金鈗(キム・ユーン)三養ホールディングス会長・韓日経済協会会長が、韓日の民間レベルの経済協力増進に向けた常設機構として設立された韓日経済協会と韓日の産業技術協力促進・相互交流を通じた発展的で未来志向的な韓日関係の貢献に向けて設立された韓日産業技術協力財団の役割とこれまでの成果について説明し、これまで50年間の韓国と日本の経済協力に関する評価と今後の方向性について述べた。次に十倉雅和住友化学代表取締役社長が、住友化学グループが「グローバリゼーション&イノベーション」の精神の基で展開してきた日韓産業協力の具体例をご紹介くださり、その上でマクロな視点からの日韓を取り巻く事業環境を分析し、日韓の経済連携協定や産業協力の重要性を強調し、共通の特徴・共通の価値観・共通の課題を抱える日韓が世界で生き残っていくための指針を述べた。

第三セッション(モデレーター:藤崎一郎IIPS副理事長)では、「安全保障分野における協力関係の強化は可能か?」をテーマに、細谷雄一IIPS上席研究員・慶應義塾大学教授、山口昇国際大学副学長、金泰孝(キム・テヒョ)成均館大学教授による発表と討議が行われた。

第四セッション(モデレーター:荒井寿光IIPS副理事長)は、総合討議の場として、金銀美(キム・ウンミ)ソウル大学教授、西野純也慶應義塾大学教授による発表と討議が行われた。

最後に、鄭求鉉SFIA理事長、佐藤謙IIPS理事長による総括が行われた。両理事長は、安全保障面では、北朝鮮の核およびミサイル開発の急速な進展や、中国の国際法秩序と相いれない形での進出によって、環境が一段と厳しくなり危機のステージが上がっており、経済面では、世界的に成長が鈍化しており、かつ世界的に今後の先行きの不確実性が増大という中で、日韓共に経済の力強さに欠けているという現状認識を総括し、このような安全保障・経済の環境の中で、今こそ日韓の協力関係を具体的に進める時期ではないか、という想いを参加者が強く持っていたことが非常に印象的であったと述べた。加えて、日韓関係自体が好転しているという現在において、GSOMIAACSA、そして日韓FTAといったような具体的な成果を、今こそ上げるべきではないか、という議論に意義を感じたと述べた。最後に昨年の『日韓共同提言』での具体的な提言事項に関して、この提言の関わる実績や実行状況を日韓で確認しながら、来年のテーマ設定を考えるべきと指摘した。

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