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中曽根康弘賞

第12回受賞者

2016年7月1日授賞・対外発表(スピーチ順)

池内 恵(優秀賞)

年齢:(42歳) 国籍:日本
所属:東京大学 先端科学技術研究センター 准教授

選考理由:イスラーム政治思想研究者として、現代の国際社会においてイスラーム教が政治的な集合行動をもたらす過程を研究するとともに、国家、権力、正統性といったイスラーム政治思想の諸概念の理論的・歴史的な解明に取り組んでいる。IS(イスラーム国)の台頭、内戦・テロの頻発、難民の大量発生等、中東がとめどなく混迷し変動している現在において、中東情勢の分析とその背景にあるイスラーム教やその思想について書籍やインターネットメディアにおいて積極的に情報発信し、中東、イスラームに対する社会の関心や疑問に広く応え、理解を深める活動を行っている点について高く評価する。

落合 直之(奨励賞)

年齢:(52歳) 国籍:日本
所属:独立行政法人国際協力機構 フィリピン国派遣専門家(バンサモロ包括的能力向上プロジェクトのチーフアドバイザー)

選考理由:国際協力機構職員として、フィリピンのミンダナオ紛争に対して約14年間にわたり、停戦監視、市民保護、人道支援、社会・経済開発支援に関わっている。平成22年からはフィリピン政府とMILFの停戦合意を受けて発足したミンダナオ国際監視団(International Monitoring Team: IMT)の一員としても活動し、停戦合意違反事例の激減に貢献した。地べたを這いずり、現地の人々との対話を重視する活動ぶりに対する紛争当事者からの評価は高い。現在は、和平プロセス推進のため、ムスリム地域における社会経済開発及び組織・人材育成を目的とするJICAプロジェクトのリーダーを務めている。これらの社会活動を高く評価する。

熊谷 奈緒子(奨励賞)

年齢:(44歳) 国籍:日本
所属:国際大学 国際関係学研究科 准教授

選考理由:国際関係論研究者として、慰安婦問題、日本への修正主義批判、現代の戦場の性暴力、人身取引問題への国際協力での取り組み等を研究し、国内外に積極的な情報発信に取り組んでいる。特に慰安婦問題については、2014年に「慰安婦問題」を上梓し、偏りのない立場で慰安婦問題についての諸論点をまとめ冷静な議論のための視点を提供した書籍として注目を集めるとともに、新聞紙上等において早期の実態究明と問題解決に向けた取り組みを呼びかけた。外交問題、歴史問題に対し客観的かつ多面的な理解と議論を求めるこのようなアプローチは、慰安婦問題に限らず日本と関係諸国が真に和解し世界で共存していくために今後、おおいに期待されるものであり、これらの活動を高く評価する。

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