2025/11/05
日米同盟研究会コメンタリーNo.78「歴史はトランプ2.0をどう評価するか?」(高橋和宏 ・法政大学教授)を掲載しました。
2025 年4月にトランプ大統領が発表した「解放の日」関税をめぐる主要国との交渉はほぼ峠を越えた。最大の山場である中国との関税交渉も、10月末の韓国釜山での米中首脳会談での先送り合意によって、ひとまず沈静化したようである。広範なトランプ関税の結果、第 2 次政権発足前に約2.4%だったアメリカの平均関税率は1930年代の水準にまで跳ね上がった。対日関税も当初打ち出された 24%に比べれば引き下げられたものの、一般税率を含めて 15%という相互関税率はこれまでからみれば大幅なコスト高である。関税引下げや輸入制限撤廃による自由貿易原則を前提としてきた戦後国際経済システムは、少なくともアメリカとの関係においては崩れ去ったといってよい。

